通常ですと、紺野が痴漢を殴り飛ばして終わりなので、別の方法をとりました。
嫌がる紺野に頼み込み、対象者と満員電車で移動中の時を狙って、痴漢にあっているフリをしてもらいます。
また犯人役として、50代の脂ぎったオッサンと、性欲を持て余している感じの20代、2パターンをランダムで用意しました。
■新田
新田は寝ています。紺野は立っています。オッサンが近づきます。
紺野のツナギの臀部に手を伸ばします。
もう少しでケツたぶに触れます。オッサンがハアハアします。
気付くと、眠っていたはずの新田の目が開いていて、じっとオッサンを見ています。
あとはもう、オッサンが降りるまでずっと見ています。
■吉本
吉本は人目を憚らず、全力で電車移動を楽しんでいます。
自由に振る舞う吉本を眺めている紺野の無防備な尻に、オッサンの手が近づきます。
ですが吉本は電車に夢中です。
紺野の尻が揉まれます。吉本は楽しそうです。紺野の尻が揉まれます。吉本は嬉しそうです。
そしてとうとう、吉本の目が痴漢の姿を捉えます。
紺野が痴漢されているということがわかっても、吉本は紺野が嫌がらないことが不思議でなりません。
吉本「紺野、なぜケツを揉まれておる」
結構大きな声だったので、オッサン視線が集中します。
居た堪れなくなった痴漢の方から、撤退します。
■矢ヶ崎
壁にもたれて立っている矢ヶ崎と、その隣に立っている紺野。
近付く若者の痴漢。熱い視線を紺野の尻に送りながら、じりじりと隣に並びます。
そして、矢ヶ崎から死角になるように、さりげなく手を伸ばします。揉みます。揉みます。揉みます。
紺野が抵抗しないことを不審に思い、矢ヶ崎は何も言いません。
そして痴漢が去っていったあと、矢ヶ崎は紺野にドスが入った声で囁きます。
矢ヶ崎「さっきの、どういうプレイなん」
■九条
九条は常に、紺野をガードするように隣に立っています。
痴漢だけではなく、誰の手も届かない位置に紺野を囲っています。
ですので、痴漢が近寄ることはできませんでした。
■斎木
出先で、紺野が取引先のオッサンに絡まれているのを見つけます。
声をかけようとした時、オッサンのクリームパンのような手が紺野の太腿に触れているのを見ます。
斎木はしばらくその様子を見守り、紺野がどんな反応をしたのか逐一記憶します。
そしてオッサンが立ち去って、紺野がそそくさと車に戻ってきても斎木は何も言いません。
後日、痴漢のオッサンの部署を徹底的に調べ上げられてしまい、仕込みだということがバレてしまいます。
そして忘れた頃に、ベッドの上でその事を持ち出し、いつもより激しいプレイに及びます。
■石松
取引先の若者がやけに紺野に執拗に話しかけているのを、遠くから見かけた石松は、何となくその様子を見守ります。
フレッシュな若者の手が、紺野の腿や尻に触れます。石松、カルチャーショックです。
会社で、しかもこんな往来で、痴漢が行われているなんて思ってもみませんでした。
疲労困憊の紺野が戻ってくると、石松は紺野に淡々と告げます。
石松「取引相手だからと言って、遠慮する必要はない」
■牧
取引先の社内で、牧は、紺野が若者に痴漢されているのをすぐに見つけます。
ですがこの場合、通常ならば紺野はすぐに抵抗することを知っているので、妙に思います。
ので、近付いてみます。そして、慌てて手を止めた痴漢に言います。
牧「気にするな、続けろ」
■大衡
大衡は紺野の隣に立っています。若者が近づきます。
そして、まずは軽いジョブな感じで紺野の臀部に触れます。
大衡から積極的に紺野に話しかけて会話が弾んでいるため、大衡は紺野の様子の変化をすぐに見抜きます。
そして痴漢されていると知ると、遠慮無く若者を蹴り飛ばします。
そして無言のまま、紺野は大衡にどつかれるようにして隅っこに追いやられます。
■来栖
・オッサン相手の場合
来栖は携帯を見ています。オッサンが立っている紺野に近づきます。
そして仕事の疲れでむくんだ手を、紺野の臀部に近付けます。揉みます。
入り口、いや出口の形が変形するくらい激しく揉みます。紺野が息を詰めます。
そこで来栖は紺野の様子がおかしいことに気づきます。
来栖「ん? もしかしてどっか具合悪い? 電車に酔ったとか――
見ると、紺野の背後にいるオッサンの鼻息が荒いことに気づきます。
普段はあまり悪くならない来栖の人相が悪くなります。
来栖「……何してんだよ、オッサン」
来栖はそう凄み、オッサンの手を掴み上げます。
来栖「は? 痴漢とか何やってんのあんた。子供は? 嫁さんいるんでしょ? 恥ずかしくないの。捕まったら子供だって悲しいんだよ。こんなカッチリした良いスーツ着てさぁ……いいトコ勤めてんでしょ? なのにこんなことしてたら駄目だよ。もう二度としないでよ。わかった?」
来栖は、ちょっと泣きそうになったオッサンの肩を叩いてから紺野の肩を抱き、笑顔で別の車両に移動します。
・若者相手の場合
建前上、またあんな事になったら紺野も嫌だもんなと言い、来栖は自分の隣に紺野を座らせます。
まさか一日に二度も紺野が痴漢されるとは露知らず、来栖は完全に気を抜いています。
そして、紺野の前に現れたのは性欲をギンギンに持て余した、一見普通の兄ちゃんです。
彼は座っている紺野に近づき、さりげなく吊り革に捕まります。
そして来栖がこっちを見ていないことを確かめた上で、紺野の膝に猛ったブツを押し付けます。
来栖は気づきません。紺野は内心相手を殴ってしまいそうなのを堪えています。
不意に、来栖がなにげなく紺野の会話を振ろうとした時、その光景に目を疑います。
来栖「……」
まさか座ってるのに痴漢されるとは思ってもいませんでした。
来栖は呆然としながらも、おもむろに若者を押しやり、哀れみの視線でこう言います。
来栖「風俗、行きなよ。何なら紹介してやるから」
そして目的地に電車を降りたあと、抵抗しないのはお前らしくない、今日は一体どうしたんだと紺野を少し問い詰めます。
結局ネタバレをせざるを得なくなった紺野が事情を説明すると、来栖はなあんだそっかーと言って安心し、ラブホテルに向かい、痴漢プレイに精を出します。